第一章 はじまり

第六話 お使い

袖から溢れている光をローブで覆い、
トゥルーは、寝息を立てている、というより、
いびきをかいているドラコを蹴飛ばした。
もちろん昔のような蹴りかたではないことは
読者の方々も重々承知だろう。
「ドラコおきろ。いくぞ」
こいつは寝るとなかなかおきない。
しかも、寝起きが悪いときてる。

今日はシヴァの頼みを断りきれなかった為に、
ルナの商店街までお使いをさせられているのだ。

シヴァとは、同居人の一人で、最近住みついた女テイマーだ。
その容姿とふんだんに溢れる色気にトールとクロフトは常ににやけた顔を絶やすことはなかった。

トゥルーはシヴァに関しては特別な感情は持ち合わせてはいないし、
逆にどっちかといえば苦手なタイプだった。
お使いも断ろうと思ったのだが、
トール「シヴァちゃんのお願いを断るとは罰当たりもんが!」
クロフト「そうだぞトゥルー!ねぇシヴァさん?俺が行きますよ?
	こいつはわがままでどうしようもない男だし。」
トゥルー「む・・・」
シヴァ「これはトゥルーちゃんにお願いしたいの。いつもダンジョンに篭ってばっかりだし
	たまには息抜きも良いでしょう?」
	
あれやこれやでシヴァに隷属する彼らに強引に追い出されてしまった。
ちなみにお使いとは、布の買出しだった。テイマーや戦士には必須の包帯が
そこをついたためだ。
トゥルーも頻繁に使うアイテムだ。

「まぁ、いいか・・・」

という具合で今ここにいるわけである。
さて、ドラコはといえば・・・

まだ寝ている。本当にこいつを起こすのには骨が折れる。
このまま置いていってもいいのだが、
普段なら負けはしないバンパイアバットに襲われても起きないだろう。
そのまま昇天されても困るから、やっぱり起こすことにしよう。

蹴り数発でやっと起きたが、同じタイミングで足に噛み付かれた。
残り少ない包帯で治療をほどこした。

顔を洗うために泉を見つけなければならなかったが(ドラコのせい!)、
もうひとつ目的が出来た。
こいつに水をぶっかけてやる!

まぁそれでもこんな平和はあの頃は得られなかったこともあり、
多少腹を立てながらもトゥルーは内心笑っていた。

ドラコにまたがり鐙を蹴る。
まだ寝足りないかのような足取りでドラコはのっそのっそと、
騎士の都”ルナ”へと歩き出した。

第一章 ”はじまり”完

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