第一章 はじまり

第一話 朝日を浴びて

トゥルー・ハンターは空を見上げている。
ここは天空のマラス。ルナとアンブラを結ぶ街道沿いの倒木に腰を下ろし、
つかの間の休息を取っていた。
休息といっても、彼も彼の騎乗するスワンプドラゴン”ドラコ”も、
特に疲れているわけではなく、朝のさわやかな風と日差しに気づき、
少しのんびりしたい気分になったのだ。

トゥルーは幼い頃に両親を亡くし、
魔法使いマーリンに拾われて今の親父のトールに預けられた。
トールはメイスを握れば並ぶもの無しとうたわれた戦士だったが、
トゥルーを引き取り引退。いまは細々と鍛冶屋を経営している。
3人兄弟であり、トゥルーのほかには、クロフト、ヴァルがいる。
クロフトは自称トレジャーハンターであり、実際のところ彼が見つけてきた財宝で生計を立てている。
ヴァルはまだまだ駆け出しの音楽家だ。このじゃじゃ馬はもはや誰にも手がつけられなくなっている。
ちなみに、兄弟とはいっても血のつながりはない。トールとクロフトは親戚の関係だが
トゥルーとヴァルは養子である。
ヴァルに至っては種族すら違う。彼女はエルフだ。エルフの繊細さとは無縁のエルフ・・・

さて、話を戻そう。
トゥルーは日々肉体を鍛え上げている。
両親の敵を討つために騎士となった。
彼らは常に、どんよりとした地下にもぐり、
魔物を相手に剣術を磨く日々を過していたためか
この休息をひどく懐かしく感じていた。

ふと、トゥルーが顔を下ろすと、道端のオレンジのキノコがドラコの興味を
引いてるのがみえた。
「そいつは食えんぞ」
ドラコはにやついている彼の顔をちらりと横目でみたが
またすぐ、くんくんとにおいを嗅ぎだした。
その行動をしばらく眺めていると、
「グウゥゥォォ・・・」
なにやら、もだえたような声を上げはじめた。
鼻を地面にこすり付けている。
「毒キノコ!?食ったのか!?」
トゥルーは心配して駆け寄った。
次の瞬間!
「グッシュン!」
駆け寄った彼の顔めがけて、つばきやら何やらが
一斉に飛んできた。
「グシュン!グッシュン!!」
数回繰り返し、くしゃみが収まった頃には
トゥルーの顔はドロドロになっていた。
「ドラコ!!」
聞こえているのか聞こえてないのか、
ドラコはのそのそと怒声に尻を向けて
どっかとふてくされた様にねむってしまった。
「まったく・・」
ぶつぶついいながら倒木に座りなおし、ローブの袖で顔をぬぐっていると、
袖口からオレンジ色の光があふれていた。
朝日を浴び、いつにも増して輝くその鎧の名は・・・
チュニック オブ ファイアー。
炎の精霊から授けられしアーティファクト。
トゥルーはいつしか顔を拭くことも、旅の途中であることも忘れ
この鎧と一緒に授けられた使命を思い出していた。

第二話 暗黒の地の底にて


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