第一章 はじまり

第三話 垣間見た死

トゥルーは立ち止まった。
周りのものにはそう見えただろう。
いや、見ているものなどいないはずだが・・・。
目の前で猛威を振るう巨大な悪魔・・・・。
デーモンですら許しを請うであろう禍々しさ,悪魔の王に
立ち向かう戦士たち。
姿は、常人の3倍の背丈を持ち、
骨の鎧を纏ったデーモンのような姿をしており、
狂気のオーラを発している。
周りに屍を従える凶悪さは、
いくら熟練の戦士であっても
他人に気を取られれば、即、死につながるのだ。
トゥルーに気を向けるものなど、いるはずがなかった。

彼は鐙(あぶみ)をけった。幾度となくけった。
だが、ドラコはピクリとも動こうとしない。
人間にはない感覚がそう告げるのか?
小刻みに震えている。
幾度なく共に死線をかいくぐってはきたものの、
ただ餌をくれるだけの主人に
命を預けるほど、彼(ドラコはオスである)は従順ではなかった。
かろうじて、彼の意地が敗走を妨げてはいるものの、
だんじて、動こうとはしない。
トゥルーは飛び降り、ドラコをおもいっきり蹴飛ばしたあと、、
凶悪な屍と化した悪魔に向かい走り出した。
常に怒りのみが彼を支配していた。
怒りが、これまでの彼を支えてきたのだ。
仲間を探すわけでもなく、
己自身の力だけを頼りに生きてきた。
つまり、ドラコは騎乗する道具としてしか
役割を与えられてはいなかったのである。
彼が混沌の中に飛び込んでも、
それでもドラコは、後退も前進もせず、ただ立ち尽くし、
トゥルーの背中を見つめていた。
ただ、その目は光をおびていた。
まるで、何かを待っているかのように・・・。。


一太刀、二太刀切り込んでいく。
手ごたえは上々だ。
このままいければ、問題なく倒せるだろう。
反撃を盾で受け流しながら、無数に切り込んでいく。
振り回される巨大な腕を紙一重でかわしながら、
危なげなく攻撃を繰り返していった。
と、突然、背中に激痛がはしる!
リッチのエナジーボルトが直撃したのだ。
いつの間にか背後に迫っている敵に気がつかなかったのだ。
何たる不覚。
トゥルーは、対アンデット用に銀を練りこんだカトラスを常に携帯している。
すばやく武器を持ち替え、一太刀で首をはねた。

この瞬間がどれくらいのものだったろう?
すべてを瞬時に、やり終えたはずだった。
まったく隙などないはずだったのだ。
わずかに治療が遅れたことを除けば・・・。

がっくりと崩れ落ちていくトゥルー。
頭に、強烈な痛みを感じる。
丸太のような腕が彼に振り下ろされたのだ。
目の前が真っ白になっていく。
このままどこまでも落ちていくような感覚にとらわれたが、
それもすぐ消えさった・・・。
真っ暗な闇。
死に捕らえられたことだけがはっきりと頭に残っていた。

第四話 運命の瞬間


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